創業明治四拾弐年 古舘製麺所

はっと・かっけ・やませ

「はっと」とは?

平安初期の儀式や制度を書いた書物である『延喜式』の中に薄鈍(ハットン)の記載があり、麦粉や小豆を用いてつくった菓子で、軽米のあずきばっとうのようなものであったらしい、と記載されています。

この薄鈍(ハットン)がなまって各地に広まり、甲州巨摩郡南部村(現在の山梨県西部)の民がこの地方に入植した際、「はっとう」などの食文化を伝え、岩手県北地方に根ざし独自に進化して「はっと」となったと言われています。

岩手県北地方では、麺類の総称として「はっとう」又は「はっと」と広く使われています。また、そばを原料にしたものは、「そばはっと」とも呼ばれています。

「かっけ」とは?

にんにく味噌でたべるこの地方独特の、体の温まる食材です。
そばを打ってのばしたものを三角に切り、とうふや大根といっしょに鍋で茹でて食べるしゃぶしゃぶにも似た料理です。寒い冬の夜、からだが温まるので来客のあるときなどなりよりのもてなしでした。

「かっけ」と言う名は、「角形」からきているという説、「かけら」の意味だという説などがありますが、どれがほんとうなのかははっきりとしたことは謎のままです。
一説によると、蕎麦切りは当時贅沢品で自分たちでは食べず、お客様が来た時だけにお出しする料理でした(わんこそばがよい例です)。 その際に蕎麦打ちの残りのかけらを捨てずに自分たちが食したことから「そばのかけら」から「かっけ」となったと言われています。

この他にも、この地方の方言で「さあ、食べてください。」という意味の『かぁけえ。』からきているという説などがあります。青森県三戸地方では、「つっつけ」というところもあるようです。

かっけ

「やませ」とは?

三省堂「大辞林」によると

やませ【山背】
(1)山を越えて吹いてくる風。山背風。
(2)東北地方の中・北部の太平洋側(特に三陸地方)で、梅雨期から盛夏期にかけて吹く北東風。オホーツク海高気圧がもたらす冷湿な風で、長く続くと冷害の原因となる。
[季語]夏。

と記されております。軽米地方での「やませ」は、(2)の意味を指します。

ここ軽米地方は、やませの影響を受け、夏でも20度を下回ることがしばしばあります。このやませが良質のヒエ、ソバ、小麦などの穀物を育んできました。

当古舘製麺所の「やませそば」は、この冷たい季節風を受けて育った蕎麦を原材料に使用しています。